ドッグフード・犬の病気【神経の疾患】特発性前庭疾患
前庭疾患とは・・・
耳には平衡感覚をつかさどる前庭という器官があります。
その前庭に異常が起こり頭が傾いたり(斜頸)、
目がぐるぐる回る(眼振)という
症状が出ている状態のことです。
特発性前庭疾患とは?・・・神経の疾患
前庭疾患は、平衡感覚を失いバランスが取れなくなってしまう病気のため、倒れた時に外傷を負うこともあります。老犬もかかりやすい病気のため注意が必要です。
今回は、前庭疾患の症状や治療法について解説していきます。
概要
特発性前庭疾患とは、平衡感覚を司る前庭神経に異常が発生し、斜頸や眼振など前庭神経障害の症状が起こる病気の中で、原因が特定できないものを言います。
前庭神経は末梢神経系と中枢神経系に分けられ、
耳の中(内耳)や耳と小脳や延髄をつなぐ前庭神経に異常があるものを末梢神経障害、
延髄や小脳に異常があるものを中枢神経障害と呼びます。
特発性前庭疾患は末梢神経障害(内耳や前庭神経の異常)で、弱りがある側に頭が傾き、眼振やふらつき、グルグルと回る行動などが見られます。
前庭疾患の犬がどんな状態にあるかを(あまりおすすめはしませんが)ご自身で体験したいならば、回転する椅子に座ったまま30秒ほどグルグル回ってみましょう。回り終わった後、ご自身の眼は眼振しています、そしてまっすぐに歩くこともままならないでしょう。これがまさに前庭疾患の犬に起きている状態です。
特発性前庭疾患以外の前庭疾患は多数存在します。中内耳炎、頭部へのダメージ、耳道や脳の腫瘍、甲状腺機能低下症、脳の炎症や脳梗塞、一部薬剤への中毒などがあります。これらさまざまな前庭疾患の中で、特発性前庭疾患は内中耳炎の次に多い疾患です。
前庭神経に異常がある場合は、「特発性」以外のこれらの病気を総合的に検査し、できる限り除外していくことが必要になります。
症状
高齢になった犬で、急に頭が傾き(斜頸)、黒目が横に流れたり(水平眼振)、回転したり(回転性眼振)します。同じ方向にグルグルと歩き回ったり(旋回運動)、立ち上がれず横になって転んだまま一方向に回転したりします。気持ち悪くなって嘔吐したり、食欲不振になったりする場合もあります。
以下の動画は「you tube」からお借りしてきました。
・斜頸(頭が傾いている)
・眼振(目がぐるぐる回る)
・旋回(バタバタとのたうち回る)
・横転
・食欲低下
・よだれを大量に垂らす
・嘔吐
・元気消失(いつもより元気がない、動きがにぶい)
・うまく歩けない
・つまずく
・・・・などの症状があります。
ただし、前庭疾患は生死につながる病気ではなく、痛みもない場合が多いです。
しかし、人間でいうとめまいや乗り物酔いのような状態のため不快感を感じることはあるとされています。
発症直後は重たい症状が確認されますが、3日程度で徐々に改善し、3週間以内に症状が消失する場合が多いです。後遺症として斜頸が残ったり、再発する場合も稀にあります。
対象
主に高齢になって発症する病気で、どの犬にも発生しますが、特に柴犬に多いです。
予防、治療
原因が不明なため、予防法はありません。
そのほかの原因による前庭疾患を除外した上で、という前提ですが、基本的に予後は非常に良好で、無治療で回復する病気です。
ただし、老齢犬は体力が低下している場合が多く、前庭障害の気持ち悪さで嘔吐や食欲不振が見られるため、犬の状態によっては対症療法を行います。
補液による水分や栄養の補給、酔い止めの薬や前庭鎮静作用薬の投与などを検討します。
鼻もとに食事や水を持って行くと食べたり飲んだりできる犬も多いので、やってみましょう。
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