秋は「食欲の秋」とも言われるほど、さまざまな野菜や果物が美味しい季節です。
せっかく美味しい味覚が楽しめる秋だからこそ、愛犬にも食べさせてあげたいという人も少なくありません。梨やりんご、栗、柿などは、秋の味覚の代表です。
しかし人間と同じ食べ物を与えると、体調不良につながる場合もあります。
ここでは、「愛犬と一緒に食べられる秋の味覚とその栄養価、秋の食材で気を付けたいNG食材や注意点など」等について判りやすくまとめてみました。ぜひ愛犬のケアに役立ててください。
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犬に食欲の秋って存在するの?
過ごしやすい気温になる秋は、夏や冬よりも消化能力が改善され、食が進む傾向にあります。
夏の暑さで食欲が減退していても、暑さがやわらぐにつれ元気になり、食欲も戻ってくる子もいます。犬にとっても「食欲の秋」はあると言えるかもしれません。
◆食欲の秋の由来 ・セロトニンが関係している説 ・夏バテ解消説 ・基礎代謝上昇説 ・味覚の秋が豊富説 ・冬に備えて栄養を蓄える説 この説はあくまでも人に関係して言われている説ではありますが、『夏バテ解消説』や『冬に備えて栄養を蓄える説』については、犬にも当てはまる部分があります。
犬は季節によって必要とするカロリーを自らコントロールしていて、夏場は暑さから身を守るために食欲をセーブし、皮下脂肪を出来る限り減らすのに対して、
秋はそれまでセーブしていた食欲を元に戻し、冬に備えて脂肪を蓄えようとします。
犬においても秋という季節は【食欲の秋】があると言えそうです。
秋の食材を食べさせる上での注意点
秋の味覚として思い浮かぶのは、サツマイモや里芋などの芋類、秋刀魚や鮭などの魚類、梨やリンゴなどの果物です。
これらの食材には犬に与えても大丈夫なものと、与える際に注意が必要なものがあります。秋の食材を与える際には、下記の点に注意します。
まず芋類は喉に詰まらせてしまうことや消化不良になることが多いため、煮崩れるまで茹でたり、フードプロセッサーを使うなどして細かく柔らかくしてあげる工夫が必要です。
犬はほとんど咀嚼をせず飲み込んでしまうため、大きさや硬さに注意し食べやすいようにしてあげます。
茹でる際には食材の温度にも注意が必要です。茹でてすぐは熱すぎて危険なので、体温に近い38~40℃ぐらいまで冷ましてから与えるようにします。
食材を与える量にも注意が必要です。基本的に犬の健康管理に必要な栄養素はドッグフード(総合栄養食)で十分賄えます。
秋の食材はアクセントに加える程度にします。食材によってはアレルギーがある場合もあるので、初めて与える食材は特に少量から取り入れるようにします。
おススメの秋の食材
野菜や果物を食事に取り入れる場合は、ドッグフード等に少量を混ぜると良いです。
前述の通りアレルギーの有無の確認のほかに、食べ慣れない食材をいきなり与えるとお腹を壊す恐れがあります。最初はいつものドッグフードに少量混ぜ込み、様子を見ていきます。
また、犬にとって塩分は大敵のため、味付けは不要です。
犬が食べられる秋の味覚・・・さつまいも
さつまいもは8月~11月頃に収穫されますが、水分を抜いて甘みを出すために2、3か月ほど貯蔵されます。そのため、水分が十分に抜けた、甘みが程よく出る10月~1月頃が旬の野菜です。
そんな秋の食材のさつまいもは、「カリウム」、「カルシウム」、「ビタミンE」、「葉酸」、「ビタミンC」が含まれる栄養豊富な野菜で健康促進にも効果があります。
ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンA、カリウム、食物繊維などが豊富なさつまいもは、皮膚や骨の健康維持、がんや生活習慣病予防、便秘解消などの整腸作用にも効果がある秋の味覚野菜です。
中でも熱による損失が少ないビタミンCが豊富に含まれており、免疫力強化や抗酸化作用の効果も期待できます。
犬にさつまいもを与える場合は、消化不良を起こす恐れがあるため生のさつまいもは避けて、熱を通してから与えます。
ただし、熱を通しても皮は消化できない場合があるので、剥いてからあげるようにしてください。
なおスーパーなどで売られている加工品は、味付けがされている場合が多いです。加工されたさつまいもは塩分や添加物などを多く含んでいるので、生のさつまいもを買うようにしてください。
ただし、こちらもカボチャ同様カロリーが高いため、与える際には量に注意して与えてあげてください。
犬が食べられる秋の味覚・・・かぼちゃ
ハロウィンのイメージも強いかぼちゃは6月頃に収穫されますが、さつまいも同様水分を抜いて甘みを出すために2、3か月ほど貯蔵します。そのため収穫から3ヶ月ほど経過した9月~12月頃が旬の野菜です。
3大抗酸化ビタミンのβカロテン、ビタミンC、ビタミンEが豊富に含まれているかぼちゃです。
含まれる栄養成分は「ビタミンE」、「ビタミンB1」、「ビタミンB2」、「ビタミンC」、「β-カロテン」、「カルシウム」、「鉄分」、「カリウム」と豊富です。
食物繊維が豊富で便通改善が期待できますが、糖質も高いため与えすぎには注意が必要です。
生や皮付きはさつまいも同様消化不良を起こしやすいため、柔らかくなるまで茹でて皮を除去してから与えます。一口サイズにカットしてあげると食べやすくなります。
また、ビタミンが豊富に含まれるカボチャはビタミン過剰となる場合があります。
与えすぎに注意しましょう。
血行促進や細胞再生、動脈硬化の予防などの効果が期待できる秋の味覚野菜の一つですが、かぼちゃは野菜の中でも高カロリーで、
肥満になりやすいブルドッグやゴールデン・レトリバーなどの犬種にはカロリー調節や与える量に注意が必要になります。
犬が食べられる秋の味覚・・・柿
柿は品種によって旬の季節が異なりますが、10~11月が旬のものが多いです。含まれる栄養成分は、「ビタミンC」、「カロテン」、「食物繊維」、「タンニン」と、栄養豊富な果物です。
柿の皮は固く種も大きいので、喉に詰まらせないように、皮をむき、種を除去してから与えます。
また、果実が硬い場合は咀嚼できず喉に詰まらせる危険があります。
細かくカットしてから与えます。
人間にとっての一切れは愛犬にとっては大きすぎます。小さすぎると感じるほど小さく切り、少しずつあげます。
犬が食べられる秋の味覚・・・梨
梨は7月~9月が旬の、「カリウム」、「食物繊維」、「アスパラギン酸」が含まれる栄養豊富な果物です。
成分の90%が水分でできている梨は、食べ過ぎると軟便や下痢を引き起こす場合があります。体を冷やしたりお腹を壊さないよう、様子を見ながら与えてください。
また、皮は消化できない場合があるため、きちんと剥いて、種を全て取り除いてから与えます。水分を多く含んでいることから、水分補給できるというメリットもあります。
ただし、梨には「石細胞」という消化されにくい細胞が多く含まれています。石細胞も食べすぎると下痢の原因になるので、食べ過ぎには注意が必要です。
犬が食べられる秋の味覚・・・キノコ類
私たちがよく食べる、シイタケ、マイタケ、シメジ、エノキ、マッシュルームなどは犬にも与えることができます。
キノコ類には食物繊維、ビタミン、ミネラルや、免疫力の維持に役立つβグルカンが含まれています。
ビタミンDやカルシウム、食物繊維を豊富に含み、だしを取ったり、水で戻して使ったり、料理に取り入れやすい秋の味覚野菜です。
βグルカンの一種である「レンチナン」という成分は強い抗がん作用があり、抵抗力が弱い子犬や老犬には特に取り入れてあげたい食材の一つです。
ただし、シイタケは前述した通り食物繊維が豊富なため、消化があまりよくないので、干しシイタケにして乾燥のまま摩り下ろしたり、しっかりと火を通してみじん切りにしたり、工夫した上で与えます。
なお、当然ですが畑や山などに自生している、種類の分からないキノコはあげてはいけません。素人目では毒キノコと区別できないものも多いので、必ずスーパーで購入したものを与えてください。
犬が食べられる秋の味覚・・・鮭
ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、カルシウムなどが豊富な鮭は、骨や歯の強化や疲労回復などに効果がある秋の味覚食材です。
赤身のように思われがちな鮭は実は白身魚で、あの赤い身を作り出すアスタキサンチンには、強い抗酸化作用が認められ、がん抑制などの働きがあることが分かっています。
また、血液をサラサラにしてくれるEPAや脳細胞の活性化に役立つDHAも豊富に含んでいるため、シニア犬や白内障や認知症になりやすいと言われている柴犬などにおススメです
犬が食べられる秋の味覚・・イワシ
青魚であるイワシには、カルシウムがアジの3倍あり、それに加えてビタミンDも豊富なため、骨や歯の強化が必要な成長期には、とてもおススメな秋の旬食材です。
また、イワシは魚介類の中でも特にEPAの含有量を多く含み、血栓予防や高血圧改善に効果が期待できます。
さらに、イワシに含まれているイワシペプチドという成分には血圧上昇を抑制する働きがあるので、心臓や腎臓に負担がかかっている愛犬にはとてもおススメな食材と言えます。
犬が食べられる秋の味覚・・・サンマ
たんぱく質や脂質、ビタミンAやビタミンD、カルシウムなどを多く含むサンマは、たんぱく質よりも脂質を多く含むため、高カロリーではありますが、その脂質にEPAやDHAが豊富に含まれています。
ただし、前述でも述べましたがサンマは高カロリーな魚でもあるため、肥満気味の愛犬に与える際にはカロリーオーバーにならないように気を付けましょう。
犬にとってNGな秋の味覚
犬にとってNGな秋の味覚・・・ブドウ・マスカット
秋の味覚にはブドウやマスカットなどの果物も含まれておりますが、このブドウ・マスカット類に限っては、犬にとって中毒を起こす危険性がある果物のため、決して与えないようにしましょう。
ブドウやマスカットを食べて起こす中毒は、はっきりとした原因が解明されておらず、与えた場合には、最悪死に至ってしまう程危険とされています。
ブドウやマスカットについてはその実はおろか、皮や種に至るまで、犬に与えないようにしてください。
犬にとってNGな秋の味覚・・・アボカド
「森のバター」と称されるアボカドについても殺菌作用のあるペルシンという成分が含まれています。
この成分は人以外の多くの動物では有害とされており、嘔吐や下痢、呼吸困難といった中毒症状が危惧されています。
アボカドには多くの品種があり、ドッグフードの原料で使われているアボカドの場合には、ペルシンの含有量が少ないものを使っているため中毒症状は出にくいようですが、
日本のスーパーで一般的に多く出回っているアボカドは、ペルシンを多く含んでいる品種のため、生のアボカドを犬に与えるのは控えます。
犬に秋の味覚を与える時の注意点
犬にドッグフード以外のトッピングを与える時には、基本的に1日に与える給餌量の10~20%が限度とされています。
しかし、普段ご自身の愛犬に与えている給餌量の10~20%を初めから与えてしまうと、食物アレルギーの有無によってはアレルギー反応が出てしまう危険もあるため、
初めは少量から与えるように心掛けてください。
可能であれば、事前に動物病院でアレルギー検査を行い、問題がなければ与えるようにすると、心配なく与えることが出来るので検討してみてください。
また、上記でご紹介した秋の味覚のイワシやサンマといった青魚については、与え過ぎによる黄色脂肪症(イエローファット)という症状を持ち合わせていたり、
加熱すれば問題ないものの多くの魚介類に含まれるチアミナーゼは、ビタミンB1を破壊してしまう酵素が含まれていたりするので、
与える時には、加熱処理、適正量を守るように注意します。
おいしい秋の食材を愛犬と楽しむためには
食べても良い秋の食材をご紹介してきましたが、ドッグフード(総合栄養食)には愛犬の健康管理に必要な栄養素が十分含まれています。そのため野菜や果物は無理に与える必要はありません。
特に秋は食欲が回復し、いつも以上に食欲旺盛になる場合も。「たくさん食べてくれるから」と必要以上に与えてしまうと体調不良の原因になるため注意しましょう。
また、肥満気味の子は与える量に注意をしましょう。体重2kgの子に10gのトッピングをあげるのは、体重60㎏の人間が300gの野菜を食べるのと同じと考えると多いかどうかの目安になります。
正しい与え方に気を付けて、秋の美味しい味覚を愛犬と一緒に味わうのもいいですね。
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まとめ
ここでは、「愛犬と一緒に食べられる秋の味覚とその栄養価、秋の食材で気を付けたいNG食材や注意点など」について判りやすくまとめてみました。ご心配な点や不明な点は、解決できましたか?
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愛犬の健康を守ることができるのは飼い主さんだけです。
正しい知識を持って、毎日の愛犬の生活にお役立ててください。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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