【ドッグフード】肝・胆・膵の疾患

ドッグフード・犬の病気【肝・胆・膵の疾患】膵外分泌不全

 

 膵臓からはたんぱく質やでんぷん、脂肪などを分解する
 さまざまな消化酵素が分泌され、消化・吸収を助けています。

 膵外分泌不全・・・とは、
 その消化酵素の分泌がほとんどされなくなってしまう病気です。  

消化がうまく行われないので、栄養の吸収も十分にできなくなり、痩せていきます。
膵外分泌不全になると、膵臓の消化酵素を継続して与えることになります。

ここでは「膵外分泌不全」につて、症状、原因、予防方法等」について説明します。

犬の膵外分泌不全の概要

膵臓には内分泌外分泌2つの機能があります。

内分泌の機能は、血糖値のコントロールを行うインスリン(ホルモン)などを血液中に放出することです。
外分泌の機能は、たんぱく質やでんぷん、脂肪などの消化を助ける膵液(消化液)を、膵管という管でつながった十二指腸に分泌することです。膵外分泌不全とは、膵臓の外分泌(膵液)が何かしらの原因でうまく出せなくなった(不全)ことで消化吸収不良が起こる病気です。膵外分泌不全の多くで、膵臓が小さく薄く(萎縮)なっているのが確認されます。

原因として考えられることの

1つ目は遺伝性で、特定の犬種(ジャーマン・シェパード、ラフ・コリー)は遺伝的に自分の免疫機能が膵臓を破壊して萎縮してしまいます(自己免疫疾患)。

2つ目は慢性膵炎によるもので、炎症によって消化酵素を分泌する細胞の破壊が繰り返され、膵臓が変性、萎縮していきます。

3つ目は糖尿病(膵臓の内分泌の異常)に続発する膵外分泌不全です。ただし、膵臓外分泌を担う細胞の9割以上が破壊されないと症状は出ません。つまり潜在的に膵外分泌不全を発症している犬は多く、症状が現れた段階で重症と言えるのです。

飼い主自身も犬が「よく食べるのに痩せている」程度の認識で、あまり問題視していない場合も多いです。血液検査で診断ができますので、疑わしい場合は検査をしてみると良いでしょう。

犬の膵外分泌不全の症状

主に消化吸収不良によって引き起こされる症状が現れます。食欲旺盛なのに痩せていて体重が増えないというという特徴もみられます。通常元気はありますが、被毛はつやがなく、毛並みが悪いです。

膵外分泌不全の症状は、脂肪が分解されないことにより白っぽく量の多い軟便をすることです。しかし、中には便が正常なこともあれば、水様性の下痢がみられることもあります。

<膵外分泌不全の主な症状>

・白っぽい便
・糞便量の増加
・軟便
・食欲はありよく食べるが痩せている
・食糞

・・・など

犬の膵外分泌不全の原因

膵臓には、血糖値を調節するホルモン分泌(インスリンなど)を行う内分泌と消化酵素を分泌する外分泌の働きがあります。

膵外分泌不全はこのうちの外分泌の働きが何らかの原因で障害されて起こります。

原因のひとつは慢性膵炎により膵臓の消化酵素(膵酵素)を分泌する細胞が破壊されることと考えられています。また、中年齢の犬で膵酵素を分泌する細胞の萎縮が起こり、膵外分泌不全になることも多いです。萎縮がなぜ起こるのかはわかっていません。

他には、ジャーマンシェパードなどでは遺伝性であることが示唆されています。まれに、膵臓から十二指腸に分泌される消化液が通る管が腫瘍(できもの)などで塞がり、膵酵素は正常につくられているのに消化液が出ないということもあります。

膵外分泌不全が疑われるときの検査は、まず糞便検査が行われます。糞便検査は、少量の糞便を生理食塩水で薄め顕微鏡で観察する直接法と、特殊な染色液をたらし脂肪滴や消化されてないでんぷんなどを顕微鏡でみるものがあります。

糞便検査では消化管寄生虫感染の可能性がないかも検査します。

これは、膵外分泌不全では補助的な検査ではありますが、症状や検査所見から膵外分泌不全がかなり確定的であれば、この段階で治療を始めることもあります。

診断的な検査としては血液検査でイヌトリプシン様反応物質(c-TLI)測定を行います。トリプシンは膵臓に存在する蛋白分解酵素で、膵外分泌不全では低値になります。

以前は膵炎の検査にも使われていましたが、現在では膵炎により特化した検査があるので、主に膵外分泌不全の検査として使用されています。

膵外分泌不全では、消化不良による吸収不全でビタミンB12(コバラミン)が不足することがあるので、血液検査による血中コバラミンの測定が行われることもあります。

<犬の膵外分泌不全の主な検査>

・糞便検査(直接法)
・染色液を使った糞便検査
・血清c-TLI測定(外部機関へ依頼)
・コバラミン(ビタミンB12)測定

               ・・・など

膵外分泌不全で起こる下痢や慢性的な痩せは他の大きな病気でもみられるので、経過や来院時の症状によって、必要であれば血液検査や超音波検査など他の検査が行われることもあります。

対象

好発犬種には、ジャーマン・シェパードが挙げられます。

また

・ラフ・コリー、
・キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、
・ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、
・チャウチャウ、
・コッカー・スパニエル、
・ウェルシュ・コーギー・ペンブローク

・・・などでも注意が必要です。

犬の膵外分泌不全の予防方法

膵外分泌不全で明確な予防方法というのはありませんが、軟便が続く、どれだけ食べても体重が増えないなどの症状がみられたら早めに動物病院を受診することが大切です。

犬の膵外分泌不全の治療

治療法は、主に症状を緩和するための内科療法です。

消化酵素製剤(パンクレアチン)の投与によって足りなくなった消化酵素を補います。反応が鈍い場合は、消化酵素製剤の効果を高めるために、胃酸の分泌をおさえる薬を併用する場合もあります。ビタミンB12の喪失が起こりやすいので、欠乏している犬にはビタミンB12を投与します。これらの治療で良い管理ができる場合が多いですが、反応が鈍い場合は脂肪を制限した療法食を検討します。

膵外分泌不全の治療では、膵酵素の粉末などを毎回食事に混ぜて与え、分泌されていない消化酵素の補充をします。
膵臓の消化酵素を分泌する機能は回復しないといわれており、膵酵素の量の調整を行うことはできますが、生涯膵酵素の補給が必要になります。
十分量の膵酵素を投与しているのに下痢が続くときなどは消化管への抗生剤の使用や、ビタミンB12(コバラミン)が不足しているときには注射やサプリメントでの補給が行われます。

これらの治療にほとんど反応しない場合には胃酸を抑える薬が使われることもあります。

<膵外分泌不全の治療>

・膵酵素(粉末など)を毎回食事に混ぜる
・抗生剤
・不足しているビタミンB12(コバラミン)の投与

                  ・・・など

膵外分泌不全のほとんどの犬は治療を行うことで消化不良が改善され、通常の生活を送れるようになります。

食べているのに慢性的に痩せている、軟便をするなど異常がみられた場合は動物病院を受診しましょう。

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