【ドッグフード】神経の疾患

ドッグフード~脳炎(髄膜脳炎)とは?症状や予防法も解説!

ドッグフード・犬の病気【神経の疾患】脳炎(髄膜脳炎)

脳炎とは、脳に炎症が起こっている状態で、髄膜にも炎症を生じている状態を髄膜脳炎と言います。脳炎を発症すると、けいれんや震え、視覚障害などの神経症状を引き起こす原因になります。

 

犬の脳炎(髄膜脳炎)・・・神経の疾患

犬の感染性脳炎の原因

ウイルスや細菌、真菌、寄生虫などの感染が原因で、脳炎を発症する場合があります。


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犬ジステンパー脳炎

パラミクソウイルス科モルビリウイルス属犬ジステンパーウイルスの感染によって引き起こされます。犬の感染性脳炎の原因として最も一般的な疾患で、混合ワクチン接種前の子犬に多く見られます。感染力が強く、感染犬の鼻水や唾液、尿などに接触すると感染します。

初期には鼻水やくしゃみ、発熱などの症状が見られ、悪化すると血が混じった下痢といった消化器症状が現れます。中枢神経にウイルスが移行すると、脳炎を引き起こします。

狂犬病

ラブドウイルス科リッサウイルス属狂犬病ウイルスによって引き起こされます。犬が狂犬病を発症すると凶暴化や興奮、元気消失と全身の麻痺(まひ)による運動失調、嚥下困難(えんげこんなん:水や食べ物を飲み込みにくくなること)、流涎(りゅうぜん:よだれを流すこと)などが見られます。

ただし、日本では狂犬病ワクチンの接種が義務化されているため、近年の発生例はほとんどありません。

クリプトコッカス症

クリプトコッカス・ネオフォルマンスという真菌の感染によって引き起こされます。犬の呼吸器から感染し、脳に広がって脳炎を発症するケースが多く見られます。発作や失明などが症状として現れます。

細菌性髄膜炎

スタフィロコッカス属やストレプトコッカス属、パスツレラ属などの細菌によって引き起こされます。犬が細菌性髄膜炎を発症すると、発熱や知覚過敏、疼痛(とうつう)、食欲不振、嘔吐(おうと)、運動失調などが現れます。

ネオスポラ症

ネオスポラという原虫(寄生虫の一種)が、脳炎や神経炎を引き起こします。

犬の非感染性脳炎の原因

非感染性脳炎とは、病原体を原因としない炎症性の疾患です。

壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎)

数種類の小型犬が発症する脳炎で、パグで多く見られるためパグ脳炎とも呼ばれます。 壊死性髄膜脳炎の原因は明らかになっていませんが、自己免疫メカニズムの異常が関連していると考えられています。症状として、てんかん発作がよく見られます。

肉芽腫性髄膜脳炎

壊死性髄膜脳炎と同様、発症する仕組みは明確になっていないものの、自己免疫メカニズムの異常が関連していると考えられています。発症すると、発作や失明、捻転斜頸、旋回などの症状が見られます。

特発性振戦症候群

小脳の炎症が特徴の疾患で、原因は明らかになっていません。発症すると、震えやぎこちなく歩くなどの症状が見られます。

ステロイド反応性髄膜炎・動脈炎

犬の髄膜と動脈における化膿性炎症(かのうせいえんしょう)が特徴で、発熱、頸部痛、知覚過敏などの症状がよく見られます。感染症の可能性が指摘されていますが、詳しい原因は明らかになっていません。

概要

脳炎とは、脳の組織に炎症がおき、神経症状(けいれん発作、視力障害、麻痺など)が主な症状として現れる病気です。

原因によって感染性脳炎と非感染性のものに分けられます。感染性脳炎は病原体が脳に入り込んで悪さをするタイプで、ウイルス(狂犬病、ジステンパーなど)、細菌、真菌(クリプトコッカスなど)、原虫(トキソプラズマ、ネオスポラなど)、寄生虫(線虫類)などの感染が原因として挙げられます。

犬の場合は、このような病原体が原因ではない非感染性の脳炎が多く、脳に炎症によるしこり(肉芽腫)ができるタイプ(肉芽腫性髄膜脳脊髄炎)や、脳の実質に炎症や壊死が起こるタイプ(壊死性髄膜脳炎、壊死性白質脳炎)などがあります。原因は不明な部分が多いですが、壊死性髄膜脳炎では脳の一部の細胞に対して自分自身が攻撃をしてしまう異常(自己抗体産生)が確認されており、そのほかの脳炎も病理検査の所見や免疫抑制剤を使った治療への反応を考慮すると、自己免疫の異常による病気(自己免疫疾患)である可能性が疑われています。

感染性の脳炎か非感染性の脳炎かによって治療も大きく変わるため、犬種や年齢、症状の現れ方や神経学的検査と共に、可能であれば全身麻酔下でMRI検査や脳脊髄液検査を行い、治療方針を立てていくと良いです。

症状

症状は、脳炎の部位や大きさによってさまざまです。進行する脳炎は、神経の興奮からやがて麻痺に移行します。

一般的な脳炎の症状は・・・、
・けいれん発作を起こしたり、
・不安定な歩き方、
・ふるえが見られたり、
・頭が傾いたり、
捻転斜頸(ねんてんしゃけい:首をかしげる姿勢をとること)
・旋回(同じ方向にクルクルと回ったり)
てんかん発作
・意識レベルの低下
・失明
・視覚障害
・運動失調
・頸部痛
(けいぶつう)
・吐き気
・食欲不振
・・・等が見られれます。

意識障害で突然かみついたり、単調に吠えたりする場合もあります。

次第に食べ物や水を飲み込めなくなったり(嚥下困難)、視力が低下し盲目になり、最終的に昏睡状態になります。

感染性の脳炎やけいれん発作を何度も起こす犬では、発熱もみられます。脳炎が広範囲に及ぶ場合や呼吸を管理する神経が侵されると、けいれん発作を短時間に繰り返し、呼吸困難などを起こして死亡します。

犬の脳炎(髄膜脳炎)にかかりやすい犬の特徴は?

脳炎の種類ごとの発症しやすい犬の特徴は、次のとおりです。

壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎)

パグ、シー・ズー、ペキニーズ、マルチーズ、チワワ、ポメラニアン、パピヨンなどの一部の小型犬。特にパグで多く発症し、1~3歳の小ぶりなメス犬に多く見られます。

ジステンパー脳炎

ワクチン未接種の子犬

肉芽腫性髄膜脳炎

若~中年齢の小型犬

特発性振戦症候群

マルチーズやプードルなど毛が白い犬

ステロイド反応性髄膜炎・動脈炎

3歳以下のビーグルやバーニーズ・マウンテンドッグ、ボクサー


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対象

感染性脳炎はどの犬、どの年齢にも起こる可能性があります。

非感染性の脳炎は好発犬種として・・・、
・パグ、
・チワワ、
・パピヨン、
・ヨークシャー・テリア、
・ポメラニアン、
・マルチーズ、
・ペキニーズ、
・シー・ズー、
・ミニチュア・ダックス、
・ボストン・テリア
・・・などの小型犬が挙げられます。
また、比較的若い犬で見られることが多い病気です。

犬の脳炎(髄膜脳炎)予防、治療

非感染性」の脳炎には決定的な予防法はありませんが、
感染性」の脳炎には、ウイルスに対しては予防接種がありますし、

病原体が脳に達する前に治療をすることで脳炎を予防できます。
普段から犬のストレスを減らし、健康的な生活をすることで免疫力を養っておくのも立派な予防法です。

感染性脳炎に対しての治療は病原体に対しての治療が主体になりますが、いずれの原因によるものでも感染症の末期の状態であり、後遺症が残ったり、死亡する場合が多いです。

病原体に対しての特効薬がない場合は、対症療法が主体になり、非感染性脳炎と近い治療が行われます。

非感染性脳炎に対して確立された治療法は現在ありませんが、一般的に免疫抑制を目的としたステロイド剤など免疫抑制剤の投与、けいれん発作に対して抗てんかん薬の投与などが行われます。

補助的に脳圧を下げる薬を投与したり、発作による発熱がある場合は体温調整が行われます。
重症化した犬は誤嚥性肺炎を起こしやすく、その場合はそちらの治療も行われます。

感染性、非感染性に限らず致死的な経過をたどる場合も多く、治療に反応が乏しく回復の見込みがなく、苦痛を伴う状態の場合、残念ながら安楽死を選択する場合もあります。

感染症の予防法

次の感染症は、ワクチン接種で予防ができるため、毎年1回のワクチン接種を忘れずに行ってください。ワクチンをまだ打てない子犬は、なるべくほかの犬との接触を避け、散歩の際は抱っこをして地面に触れないように工夫しましょう。

  • 犬ジステンパー脳炎
  • 狂犬病

細菌性髄膜炎

残念ながら、予防法はありません。

クリプトコッカス症

鼻水やくしゃみなどの呼吸器症状が犬に現れるケースが多く、感染が疑われる犬や猫との接触を避けると、感染のリスクを低減できます。また、ハトの糞(ふん)にクリプトコッカスが含まれている可能性があるため、外出時には触れないように注意しましょう。

ネオスポラ症

感染が疑われる犬との接触を避けることが挙げられますが、予防はあまり期待できません

非感染症の予防法

非感染性の脳炎は、残念ながら予防法がありません
そのため、少しでも気になる症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診し、悪化する前に治療を受けます。


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