犬の肥満細胞腫は犬の皮膚や皮下に多く認められる悪性の腫瘍です。
肥満細胞は太っているワンちゃんにあるわけではなく、私たちを含めもともと体のさまざまな組織に存在しており免疫反応に関わっています。
肥満細胞腫は基本的には悪性ですので放置してよい腫瘍ではありません。
早期に切除すれば完治するものもありますが、中には全身に転移して命を脅かす悪性度の高いものもあるので注意が必要です。
ここでは、「犬の肥満細胞腫」等について判りやすくまとめてみました。ぜひ愛犬のケアに役立ててください。
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- 犬の肥満細胞腫・・・外科手術
- 犬の肥満細胞腫・・・放射線療法
- 犬の肥満細胞腫・・・内科療法
- ステロイドホルモン ステロイドホルモンは炎症やアレルギー反応を抑えるために使われる薬で肥満細胞の増殖を抑えたりヒスタミンの放出を抑制する効果があります。 肥満細胞腫に対しても腫瘍を縮小させる効果があります。
- 抗がん剤 細胞分裂を阻害することで腫瘍をコントロールする薬剤です。腫瘍細胞だけでなく正常な体の細胞の一部も増殖が阻害されるため副作用に注意する必要があります。
- 分子標的薬 腫瘍に特異的な増殖メカニズムをターゲットにしてそれを阻害する薬剤です。 c-kitという遺伝子に異常があると肥満細胞の増殖が無制限に起こり腫瘍化する場合があります。 この仕組みをブロックする薬剤を使うことで肥満細胞腫の細胞を選択的に抑制することができます。 特定のターゲットにピンポイントに効果があるので効く場合効かない場合があります。また、腫瘍自体への治療に加え、付随して生じる不快な症状を軽減する緩和療法も併用します。 痛みを和らげたり、栄養補給、免疫を高めて、生活の質(QOL)を少しでも高く過ごせるようにサポートしていくことができます。
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犬の肥満細胞腫って・・・なに?
そもそも肥満細胞は、全身にある細胞の一つです。普通に体を構成している細胞の一つなので、みんな持っています。
肥満細胞っていうくらいだから、「太っていたり、中性脂肪が高い子がなりやすいのかな・・・」と思われている方も多い様ですが、肥満とは全く関係ありません。
肥満細胞は、免疫とかアレルギーとかに関係している細胞です。その肥満細胞が腫瘍化してしまったのが、肥満細胞腫です。
犬では、皮膚にできる腫瘍の中では最も発生頻度が高い腫瘍です(約20%)。
花粉症で「ヒスタミン」ってよく聞くと思いますが、 ヒスタミンを出しているのが肥満細胞です。
犬の肥満細胞腫・好発犬種
肥満細胞腫は、主に中高齢の犬で生じることが多いです。
犬の肥満細胞腫は、すべての犬種に発症の可能性がありますが、とくに以下の犬種のような「つぶれ顔系(ブルドッグタイプ)」の犬種の発症リスクが高いと言われています。
また、好発犬種として、
・ボクサー
・ボストンテリア
・ブルドッグ
・フレンチ・ブルドッグ
・パグ
・ゴールデンレトリバー
・ラブラドールレトリバー
・ミニチュアシュナウザー
・・・などがあげられます。
犬の肥満細胞腫って悪性なの?
はい、全部悪性の腫瘍です。
ただ、予後は各々の肥満細胞腫ごとに全く異なるので、それを評価するのがとても重要です。
※猫の皮膚にできた肥満細胞腫は、犬と異なり緩やかな経過をたどることが多いです。
犬の肥満細胞腫・・・原因
肥満細胞腫のはっきりした原因は、現在、わかっていません。ですが、8~9歳を超えたシニア犬に発症が多いことから、老化による免疫機能の低下によるものが原因ではと言われています。
幼犬からシニア犬まで報告されています。
ボクサー、ボストンテリア、ゴールデンレトリバーが好発犬種とされていますが、日本ではパグでの報告が多いとされています。
犬の肥満細胞腫・・・症状
犬の肥満細胞腫が皮膚に出来る場合の症状
肥満細胞腫は、皮膚や内臓などにできますが、犬の場合はほとんど皮膚にできる場合が多いとされています。
その形態はさまざまで、柔らかいものもあれば、硬い場合もあり、また大きくなるものもあれば、小さくなったり大きくなったりを繰り返す場合もあります。
イボや、オデキ、虫刺され、水膨れ、かぶれによる皮膚の赤み、などと見分けがつきづらいので、愛犬の体にそのようなものを発見した場合には、
はやめに獣医に診察を受けて、肥満細胞腫かどうかの判断を仰ぎます。
肥満細胞は犬の皮膚や皮下に多く認められますが、さまざまな見た目をもち特徴らしいものはありません。
肥満細胞はヒスタミンと呼ばれる炎症を起こす物質を蓄えて放出しますので、しこりの周囲が赤く腫れることや、胃潰瘍を起こして吐き気が出ることがあります。
【犬の鼻周囲に発生した肥満細胞腫】
犬の肥満細胞腫が内蔵に出来る場合の症状
稀に内蔵に出来る場合もありますが、この場合は、下痢、食欲不振、嘔吐などが続く場合が多くなっています。
犬の肥満細胞腫・・・診断手順
1:小さいからと油断せずに病院に行きましょう
2:細い針をさして中の細胞をみてみましょう 針をさして採れた細胞を顕微鏡で調べる細胞診という検査を行います。細胞の見た目から悪性のものかどうかの判断をする助けになることもあります。
3:全身の検査をしましょう 肥満細胞腫が転移しやすい臓器には、脾臓、肝臓、骨髄などがあります。全身の検査を行い転移の有無を調べていきます。
犬の肥満細胞腫・・・悪性度
腫瘍の悪性の度合いのことをグレードと言いますが、肥満細胞腫は以下の3つのグレードに分類されます。また、最近では良性と悪性の2つに分類する新しい分類法もあります。
グレード1・・・最も悪性度が低いもの
皮膚の表面にできた1cm以下のしこりで周囲への浸潤もあまりしないため手術で完全に切除すれば治ります。
グレード2・・・中間くらいの悪性度んもの
周囲の正常組織を含め広範囲に切除する必要があります。
グレード2の中でも悪性度の高いものと低いものがあるためその他の検査を併せ慎重に判断し術後の補助療法を選択していく必要があります。
グレード3・・・最も悪性度の高い腫瘍
最も悪性度の高い腫瘍です。成長も早く急速に進行します。
診断時にはリンパ節やそのほかの臓器に転移していることが多く、
腫瘍を手術で切除しただけでは根治に至らず補助療法が必要になることが多いとされています
犬の「肥満細胞腫」と「肥満細胞」の違い
肥満細胞腫とは、重要なはたらきを担っている肥満細胞が腫瘍化(ガン化)することをいいます。
肥満細胞というのは、血管、筋肉周辺、内臓周辺等、さまざまな場所に存在している命を守るために重要な役割を持っている細胞です。
肥満細胞のはたらきは、体の外部から異物(花粉や虫刺されによる毒など)が侵入してきた際に、生理活性物質(ヒスタミン・ヘパミンなど)を放出して、患部に炎症をおこさせます。
その結果、免疫機能を高め、異物を退治することができます。また、名前に「肥満」とあるが、体形に関する肥満と直接関係は無く、細胞が膨れた様子が「肥満」を連想するため付いた名前だそうです。
犬の肥満細胞腫・・・治療
犬の肥満細胞腫の治療はグレードや診断時の進行具合によってさまざまです。
犬の肥満細胞腫・・・外科手術
目に見えないレベルで腫瘍細胞が周囲の組織に浸潤していることがあるので完全な切除のためには腫瘍の周囲に2-3㎝の正常の組織をつけた状態で腫瘍を摘出する必要があります。
顕微鏡レベルで腫瘍細胞が残っている可能性があるので摘出後、病理組織検査を行いグレードと周囲の腫瘍細胞の残存状況を判定します。
犬の肥満細胞腫・・・放射線療法
外科手術だけでは腫瘍が完全に取り切れない場合には残存した腫瘍細胞を根絶するために放射線療法を行います。手術前の肉眼的な腫瘍塊を放射線単独で治療しても根治は望めません。
緩和治療、補助療法として行います。
犬の肥満細胞腫・・・内科療法
肥満細胞が全身に転移してしまった場合または将来的に転移病変が出てくることが予想される場合に用いられます。
ステロイドホルモン ステロイドホルモンは炎症やアレルギー反応を抑えるために使われる薬で肥満細胞の増殖を抑えたりヒスタミンの放出を抑制する効果があります。 肥満細胞腫に対しても腫瘍を縮小させる効果があります。
抗がん剤 細胞分裂を阻害することで腫瘍をコントロールする薬剤です。腫瘍細胞だけでなく正常な体の細胞の一部も増殖が阻害されるため副作用に注意する必要があります。
分子標的薬 腫瘍に特異的な増殖メカニズムをターゲットにしてそれを阻害する薬剤です。 c-kitという遺伝子に異常があると肥満細胞の増殖が無制限に起こり腫瘍化する場合があります。 この仕組みをブロックする薬剤を使うことで肥満細胞腫の細胞を選択的に抑制することができます。 特定のターゲットにピンポイントに効果があるので効く場合効かない場合があります。また、腫瘍自体への治療に加え、付随して生じる不快な症状を軽減する緩和療法も併用します。 痛みを和らげたり、栄養補給、免疫を高めて、生活の質(QOL)を少しでも高く過ごせるようにサポートしていくことができます。
肥満細胞腫は見た目では判断が難しいため早期発見、診断が非常に大切です。
スキンシップを兼ねて、頭の先から尻尾の先まで、よくよくさわる習慣をつけましょう。そして、しこりを見つけたら早めに獣医さんに相談してみます。
犬の肥満細胞腫・・・予防対策
はっきりとした原因がわかっていないため、明確な予防法はないとされていますが、シニア犬の発症が多いことがわかっていますので、
7歳を過ぎたら、獣医での定期的な健康診断をすることをおススメします。しこりが小さいうちに発見し、治療を開始することが大切です。
また、日常的に被毛のお手入れ、マッサージなどで愛犬の体をチェックし、イボやしこり、脱毛、皮膚の赤みなどがあれば、早めに獣医に行き、チェックを受けることが大切です。
犬の肥満細胞腫・・・間違えやすい病気
犬の肥満細胞腫と間違えやすい病気は、虫刺され、皮膚病(感染性、非感染性)、ほとんどの腫瘍と類似した症状が現れます。
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無理に頑張ってみても、しつけはすぐに効果が期待できるものではありません。
いつ終わるか分からないことを続けていると、飼い主さんがストレスを溜め込んでしまい、愛犬に当たってしまうこともあるでしょう。
そうなっては、しつけどころではありません。
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まとめ
ここでは、「犬の肥満細胞腫」について判りやすくまとめてみました。
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愛犬の健康を守ることができるのは飼い主さんだけです。
正しい知識を持って、毎日の愛犬の生活にお役立ててください。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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