家のワンちゃんは歯磨きが苦手で、無理やりやるのもかわいそうなので、
ついサボってしまいます。
そうしたら、最近口臭がキツくなってきてしまって・・・
困っています。
歯磨きを怠ると、ニオイだけでなくある病気を引き起こすといわれています。
ワンちゃんのためにも、毎日の歯磨きを習慣にしたいですね!
ここでは、「犬の歯周病の症状と原因、治療法」についてご説明します。
ワンちゃんのお口の臭い大丈夫ですか?
ワンちゃんと過ごしていて口臭が気になったことがある飼い主さんは多いと思います。
たまに臭う程度ならいいのですが、日に日に臭いが強くなっている…という場合は、注意が必要です!
歯磨きできていない
一番多いのは、なんといっても歯磨きがきちんとできていないことによる口臭です。
もともと犬は歯磨きしないので、必要ないと思う方もいるでしょう。また、歯磨きを進んでやりたがるワンちゃんも少ないと思います。
ただ、歯磨きを怠ってしまうと歯垢がたまり、やがて歯石となり、家で除去するのが困難な状態になってしまうのです。
放置してしまうと、お口のトラブルの原因にも繋がるので、できるだけ歯磨きが毎日の習慣になるように飼い主が工夫してあげる必要があります。
口の中が乾燥している
夏場に口の中が臭うという場合は、口の中が乾燥していることが考えられます。特に、普段からあまり積極的に水分を摂らないワンちゃんは水分が不足してしまうことがあるのです。
夏場は、エアコンをつけた室内にいることも多く、口の中が乾燥しやすくなります。
また、鼻炎などで口呼吸になっているときも口内は乾燥してしまうので、水分が足りているかこまめにチェックしてあげましょう。
歯周病など口腔内に疾患がある
犬の場合は食べかすがたまったまま放置すると、数時間で歯垢として蓄積されます。その後、さらに放置すると、3~5日ほどで歯石に変化してしまうといわれています。
歯石になると、その上から歯垢がどんどんたまっていき、そこに菌が増殖していきます。
その後、歯肉が炎症を起こす「歯肉炎」になり、やがては「歯周病」という重い病気になってしまうのです。
犬の歯周病は成犬の約80%に見られるということなので、歯磨きがいかに大事かがよくわかりますね。
歯石の状態になるまでのスピードは人間の5倍ともいわれているので、歯垢が歯石に変わるまでの間に、歯磨きで落としてあげることが大切です!
内臓に疾患がある
内臓に病気が潜んでいると口が臭うことがあります。これは人間にも言えることですね。
歯磨きを徹底しているけれど臭いが取れない場合は、内臓の病気が原因の口臭である可能性があります。
- 酸っぱいニオイ
- アンモニア臭
- 便のニオイの変化
これらの症状に気が付いたら、獣医師に相談しましょう。
ワンちゃんの口臭予防3つの対策
毎日きちんと歯のケアをする
やはり口臭の一番の予防は、歯磨きです!
私たち人間も、1日でも歯を磨かないと口の中が臭ったり、歯の裏がザラザラして歯垢がついていることを感じると思います。
それは、犬も同じこと、しかも犬の場合は歯垢が歯石に変わるスピードが人間よりも速いので、毎日きちんとケアしてあげる必要があります。
歯磨きが苦手というワンちゃんは、まず口に触れることからスタートしましょう。飼い主さんが歯磨きの際に手を噛まれないように、最初は口にタッチして慣れさせることが大切です。
- 膝の上に犬を前向きにして抱きかかえ、後ろから頭をなでる延長で、サイドから口に触れる
- 慣れてきたら、唇をめくる
- 口の奥に指を入れて奥歯にもタッチする
このような一連の流れを嫌がらずにできるようになってきたら、歯磨きジェルを指に取り、サイドから歯に塗布するといった簡単な歯磨きができるようになります。
嫌がるようなら時間を変えたり、日を改めて行いましょう!
焦らず、楽しくできるように工夫してあげてください。
普段食べているフードを見直す
最近は、フードで口臭予防や口内ケアができる商品がたくさん出てきているのをご存知ですか?
ふりかけるタイプの商品で、口臭予防できる成分が配合されていたり、食べることで歯垢除去をサポートしてくれるフードがあるのです。
歯磨きが苦手なワンちゃんなら、口臭・口内ケアできるフードを取り入れてみてください。歯磨きが完璧にできなくても、補助の役目として活用することができます。
動物病院で歯垢・歯石の除去をする
歯垢がたまり、3~5日ほどで歯石となり、さらにそこにどんどんと歯垢が蓄積されてしまったら、家で除去することは難しくなります。
ワンちゃんの口をサイドから開いてみて、歯の表面が茶色くなっていたら、それは歯垢・歯石が付着しているサインですので病院で取ってもらうことをおすすめします。
また、歯ぐきが赤く腫れていたら歯肉炎の可能性が高く、出血していたら歯周病にまで進行しているかもしれません。
歯肉炎まで進行していると、治療は避けられません。
また、抜歯なしの歯石除去だけでも3万円前後かかります。
さらに、歯周病にかかってしまった場合、
治療費は10万円前後掛かるようです。
犬の歯周病ってどんな病気?
歯周病は、厳密には歯周組織(歯の周りの組織)に起こるすべての問題を指しますが、一般的には犬の歯の根っこの部分(根尖)以外の部分(辺縁性)のものを歯周病と呼びます。簡単に言うと、犬の歯の表面に付着した歯石がどんどん増えていき、歯と歯ぐきの間の歯周ポケットにも入り込んで炎症が進んでいく病気です。
歯石とは?
歯石とは、口の中の細菌とその代謝活動でできる物質や水分などが固まったプラーク(歯垢とも呼ばれる)が唾液に含まれるカルシウムやリン酸によって石灰化したものや、歯周ポケットでにじみ出てくる液体(滲出液)の作用で石灰化したものです。
歯石の成分は多くが口の中の細菌であり、歯周病を放置すると犬の心臓や肝臓、腎臓にも影響が出ることがあります。また、歯槽膿漏が進行して犬の目の下の皮膚に穴が開いてしまうこともあります。「歯周病は、犬にただ歯石が付いて口が臭くなる」と考えている方が多いようですが、実は全身に影響が出ることもある非常に重大な病気なのです。
どうして症状が出るの?原因は?
健康な歯周組織の歯肉溝の中にプラークや歯石が蓄積することによって歯肉炎が起きます。
歯肉の部分だけに炎症があまっている歯肉炎であれば、その原因を犬から取り除けば健康な状態に回復できる可能性があります。この可逆的な歯肉炎では、次のような症状が犬に見られます。
- 歯肉が腫れたりブヨブヨしたりする
- 歯肉が過形成される
- 歯肉にポケットが形成される
- 歯肉から出血する
しかし、それを治療せずに放置してしまうと、細菌や細菌が作り出す毒素が歯周ポケットの奥のほうに入り込んでいき、犬の歯根膜やセメント質、歯槽骨といった歯周組織が破壊されていきます。これを辺縁性歯周炎と呼びます。この状態から治療を始めても元どおりには回復しません。
この可逆的な歯周炎と、不可逆的な辺縁性歯周炎を合わせて、いわゆる歯周病と呼びます。
どんな犬が歯周病にかかりやすいの?
同じ犬種の中でも体質的に歯石が付きやすい子と付きにくい子がいます。また、大型犬に比べると、小型犬の方が歯石が付きやすいようです。
イタリアン・グレーハウンドは、ほかの犬種と比べて歯周病の発症率が高いというデータがあります。次いで、ミニチュア・ダックスフンド、カニンヘン・ダックスフンド、トイ・プードルも発症率が高い犬種です。
犬の歯周病の症状とチェック項目
歯石が付着してくると口臭が出るようになります。そのため、犬が歯周病になると、ほぼ例外なく、ご家族は「犬の口が臭い」と感じられるようになります。
犬の口の中をチェックできるようであれば、犬の口内に歯石が付着している、歯ぐきが赤く腫れているといった特徴がないかを確認しましょう。
歯周病が進行すると、歯石の量はさらに増え、口臭はさらにきつくなります。やがて、歯肉が縮んでいき、歯がグラグラするようになります。この時、痛みが出たり、物を噛みにくくなったりすることがあります。そして、最終的にポロっと歯が抜けてしまうのです。
犬の歯周病はどうやって診断されるの?
歯周病かどうかは、犬の口の中を見て歯石の付着や歯肉の腫れなどの状態から診断可能です。外から見えない歯槽骨の状態は、歯科用のレントゲン撮影やCT撮影が必要になります。歯周ポケットの深さは器具を差し込んで測定するため、犬に麻酔をかけて診断します。
犬の歯周病の治療にはどんな方法があるの?
犬の歯周病の治療は、全身麻酔が必須です。犬に麻酔をかけてから、超音波スケーラーという器具を使用します。これは、マイクロ振動と水圧によって歯に付着したプラークや歯石を除去するもので、この処置をスケーリングと呼びます。
プラークは、ブラッシングで除去することが可能ですが、歯石はブラッシングでは除去できないため、スケーリングが必要になります。
スケーリングで大きな歯石を除去したら、歯の表面に残った細かな歯石を除去します。これがポリッシング(荒研磨)です。その後、スケーリングの影響でできた表面の細かい傷をポリッシング(仕上げ研摩)で除去します。ポリッシングを行うことで犬の歯の表面をツルツルにして、歯垢や歯石が再び付着しにくい状態にします。歯肉炎の場合は、ここまでで治療終了です。
辺縁性歯周炎の場合
まず、超音波スケーラーでスケーリングを行います。その後、ルートプレーニングを行います。ルートプレーニングとは、歯肉の内側にあるプラークや歯石、口の中の細菌が作り出す毒素により壊死したセメント質を除去し、プラークが付きにくく、歯肉が引き締まりやすい状態にするための処置です。ルートプレーニングが終わったらポリッシングを行います。最後に、炎症を起こしている歯周ポケットに、歯科用の抗生物質薬軟膏を注入します。
ここまでが一般的なスケーリングですが、歯周ポケットが5mmを超えるような場合は、スケーリングとルートプレーニングでは奥の方にある歯石の完全な除去はできません。そのため、メスで犬の歯肉を切開し、歯根部を露出して直接、歯石除去処置を行います。
犬の歯周病は治せるの?
基本的に歯周病の治療は、「歯石を除去すること」です。歯周病の歯周組織へのダメージが軽ければきちんと治ります。しかし、歯槽骨が吸収されているものは進行を止められても骨を再生させることは難しく、歯槽膿漏がひどくて犬の歯がグラグラしている状態の場合は、抜歯しなければなりません。
また、最近では「無麻酔で犬の歯石除去処置」を行う施設が増えてきました。しかしながら、これは犬の歯の表面の歯石を取っているだけで、歯周ポケットの処置まではできません。そのため、見た目はきれいになっても、奥は汚れがたまっていて炎症が進行していく可能性があります。やはり、しっかりした歯周病処置は全身麻酔が必要です。
予防法はどうしたらいいの?
犬の歯周病の予防は歯みがき
歯周病は、進行すると口の中だけでなく、全身にも影響が出てくる危険性があり、犬の場合、治療のためには全身麻酔が必要になることから、予防がとても重要です。
歯周病の予防とは、「歯みがき」です。とは言え、いきなり歯ブラシでゴシゴシこすろうとすると犬は嫌がります。そのため、子犬のころから口の中を触られることに慣れさせていきましょう。これは、成犬になってから歯周病のケアをする場合も同じです。
犬の歯磨きのコツ
まずは、犬におやつをあげるときに指で歯や歯ぐきを触るようにしましょう。最初は、軽く短い時間で終わらせ、犬が口の中を触られることに慣れてきたら、次のステップとして歯みがき用のシートを指に巻いて犬の歯をこすってみましょう。
ここまでできるようになり、もう1ステップ進めそうなら歯ブラシを使ってみましょう。歯ブラシは人間用のものではなく、犬専用のものを使用してください。
どうしても犬が口の中を触れさせてくれないようなら、歯みがきガムを使用するという方法があります。歯ブラシに比べると歯みがき効果はかなり落ちてしまいますが、ガムが当たる部分のプラークは除去することができます。
こういったお家でのケアは、歯石除去ではなく、プラークを取ることが目的です。人間のように犬も毎食後に歯みがきができればベストですが、実際はなかなか難しいでしょう。1日1回を目指し、それでも難しければ3日以上歯みがきの間隔をあけないようにしてください。なぜなら、犬の口の中は3日で歯石ができてしまうからです。
犬の歯周病のまとめ
ここでは、「犬の歯周病の症状と原因、治療法」として、
①ワンちゃんのお口の臭い大丈夫ですか?
②ワンちゃんの口臭予防3つの対策
③犬の歯周病ってどんな病気?
④どうして症状が出るの?原因は?
⑤どんな犬が歯周病にかかりやすいの?
⑥犬のの歯周病の症状とチェック項目
⑦犬の歯周病の治療にはどんな方法があるの?
⑧予予防法はどうしたらいいの?・・・について説明をしました。
ご心配な点は、解決できましたか?
飼い主さんが病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんにワンちゃんの症状を説明するときの参考としてお読みください。
この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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