ドッグフード・犬の病気【目の疾患】白内障
白内障は目の中にある水晶体が白く濁ってきて、視力が損なわれる病気です。
水晶体は外の光を集めてピントを合わせるカメラのレンズのような働きをして おり、透明な水晶体が白く濁ってしまうことで光を眼底に届けることができなくなります。
犬の白内障ってどんな病気?
犬の白内障は、もともとは透明なはずの水晶体が、いろんな原因で変化を起こして不透明になってしまった状態をいいます。簡単に言うと「眼が白くなった」状態です。
水晶体は眼の中でレンズの働きをしており、ここが不透明になると視力が低下していきます。一度不透明になった水晶体は、薬では透明にならないため、根本的な治療としては外科治療が必要です。しかし、実際には白内障になった犬で外科治療を受けるのは全体の1割くらいしかいないとされています。現状は、何も治療をしないか、内科治療を行なっているというワンちゃんが大半です。
内科療法で一番大事なのは、白内障の進行を予防することではなく、合併症を予防することです。特に、白内障になるといずれ必ず発症するとされている「水晶体起因性ぶどう膜炎」に注意していくことが最重要です。
白内障は犬ではよく見られますが、猫では、まれです。この違いは水晶体中の代謝の違いによるものだと考えられています。
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どうして症状が出るの? 原因は?
白内障は、もともと透明な水晶体の中のタンパク質が変性してしまうことで白く濁ってしまいます。
白内障を発症年齢で分類すると、先天性、若年性、加齢性という3つのタイプになります。
発症が1歳以下の先天性白内障
遺伝的な要因が考えられ、生まれつき水晶体が濁っています。
発症が1~6歳の若年性白内障
外傷や遺伝的な要因から白内障になります。ほかにも糖尿病を始めとする病気に伴って白内障になることもあります。
6歳以上で発症する加齢性白内障
年齢とともに水晶体の変性や、糖尿病、外傷、眼や全身の炎症から白内障になります。
どんな犬が白内障にかかりやすいの?
白内障には遺伝的な要因があると考えられています。遺伝的に白内障になりやすい犬種として下記のようなものが知られています。
- アメリカン・コッカー・スパニエル
- ウェルシュ・コーギー・カーディガン
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
- シー・ズー
- 柴犬
- シベリアン・ハスキー
- ジャック・ラッセル・テリア
- ダックスフンド
- チワワ
- 狆
- トイ・プードル
- パグ
- パピヨン
- ビーグル
- フレンチ・ブルドッグ
- ペキニーズ
- ボーダー・コリー
- ポメラニアン
- マルチーズ
- ミニチュア・ピンシャー
- ヨークシャー・テリア
- ラブラドール・レトリーバー
・・・など
遺伝性以外では、糖尿病性と外傷性の白内障もよく見られます。
犬の糖尿病は、血糖値のコントロールを頑張っても白内障を合併してしまう場合がよく見られます。そのため、糖尿病になったら白内障のチェックを小まめに行うようにしましょう。
外傷性の白内障は、水晶体まで傷つくような外傷で起こります。
糖尿病のより詳しい原因、症状、予防については獣医師監修の「犬の糖尿病」を併せてご覧ください
犬の白内障の症状とチェック項目
「黒目が白くなった」ということがもっとも特徴的です。
進行が早いタイプだと、物にぶつかる、食事を置いてもすぐに探し当てることができなくなる、鼻で匂いを嗅ぎながらゆっくり歩くようになる、などの変化が犬に見られます。これらは視覚異常の症状です。
進行が遅いと、犬自身が見えなくなることに順応していくため、飼い主さんは犬の眼が見えていないことに気付かないことが多いようです。
ちなみに、黒目が白くなる状態がすべて白内障ではありません。
核硬化症という状態でも白くなりますが、視覚障害は起こらないというのが白内障との違いです。
犬の白内障はどうやって診断されるの?
見た目やスリットランプという眼科用の機器を使って診断します。水晶体の一部、または全体が白く濁っていることを確認して白内障と診断します。
白内障かどうかを診断することは難しくはありませんが、大事なのは白内障の原因や関連した病気がないかどうかを確認することです。
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犬の白内障の治療にはどんな方法があるの?
白内障の治療には、内科治療と外科治療があります。
日々研究がされていますが、現時点では白内障になって濁ってしまった水晶体を再び透明にする治療薬はありません。そのため、根本的な治療は外科治療になりますが、犬の白内障の手術ができる動物病院が少ないこと、治療費の面など、さまざまな要因で白内障の手術を受ける犬は全体の1割程度とされています。
白内障を放置した場合
白内障を治療せずに放置すると、変性したタンパク質が水晶体から溶け出すことがあります。そして、水晶体起因性ぶどう膜炎という合併症を起こす危険があります。
ほかにも、緑内障や水晶体脱臼といった犬が苦痛を感じる合併症を起こす危険も報告されています。そのため、治療をせずに放置するということはあまりお勧めしません。
白内障の内科治療
内科治療は、症状に合わせて抗炎症薬や進行予防薬の点眼薬、サプリメントの内服を行います。
水晶体起因性ぶどう膜炎が軽度である場合や、確定診断は出ていないが疑わしい場合は、抗炎症薬として非ステロイド系消炎鎮痛薬を使用します。水晶体起因性ぶどう膜炎が明らかな場合や重度である場合は、抗炎症薬としてステロイドの点眼薬を使用します。
老齢性の初発(初めて発症する)白内障に対しては、進行予防薬の点眼を行うことがありますが、残念ながら完全に進行を止めることはできません。主な目的は、合併症のコントロールです。
※緑内障についても、薬を使って眼圧を下げる内科的治療のほか、眼圧が高くなる原因である眼房水の循環をよくしたり、眼房水の産生をおさえる外科的治療を行うこともあります。
白内障の外科治療
外科治療は、「超音波水晶体乳化吸引術、および眼内レンズ挿入術」を行います。これは人間の白内障手術と同じで、濁った水晶体を取り除き、そこに人工的なレンズを挿入するというものです。
人間では病院で手術をして日帰りできるところが多いのですが、犬では全身麻酔をかけることと、術後の合併症の予防などのために、数日の入院期間が必要になります。
※緑内障についても、薬を使って眼圧を下げる内科的治療のほか、眼圧が高くなる原因である眼房水の循環をよくしたり、眼房水の産生をおさえる外科的治療を行うこともあります。
犬の白内障は治せるの?
内科治療のみでは治すことはできません。内科治療の目的は基本的に合併症のコントロールです。
一方、外科手術を行うことで水晶体の濁りを取り除くことが可能です。つまり、「治すことは可能です」。しかしながら、手術をすれば一生視覚が維持されるわけではありません。近年の報告では、白内障手術をした犬でも10~20%の確率で3年以内に失明するとされています。
「それなら、わざわざ全身麻酔をかけてまで手術なんてしたくない」と考える方がいるかもしれません。しかし、手術をしないと白内障の合併症になる可能性が高くなり、視力が回復することもありません。
なお、白内障になった犬がみんな手術を受けられるわけではありません。年齢や進行度、合併症などを考慮して、手術できるかどうかを慎重に決定することになります。
どうやって予防したらいいの?
白内障、緑内障は予防が難しいですが、前述の白内障、緑内障にかかりやすい犬種は、動物病院で定期的な検査を受ける早めに治療をすることが最大の予防でしょう。
白内障の原因のひとつとして「紫外線の浴びすぎ」があると考えられています。そのため、散歩や外出は紫外線の弱い朝や夕方にするといった対策は有効です。また、眼にいい成分を配合したサプリメントを与えるのもいいでしょう。
遺伝的な要因で発症する白内障は予防が難しいため、大事なのは定期的に獣医さんにチェックしてもらうことです。
定期的に健康診断を受けることは、白内障だけでなく、そのほかの年齢と共に出てくる異常を早期発見できる可能性があるため、大きなメリットがあります。
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